海外キャリアってなんぞ、ということを考えてみた

前回の記事でブログ更新しない宣言をしておきながらの更新です。ブログのテーマにも合うと思い。

シンガポールで働く日本人って本当に多い。日本企業から出向で来ている人、シンガポールに進出している日本企業に、現地の人と同じ条件で採用されている人や、アメリカの某IT企業のシンガポールオフィスに直接採用されている人など、海外でキャリアを積んでいる人はさまざまだけど、なぜ「海外キャリアを積まなければならない」のかを定義した上で、どうすれば実現できるのか、を考えてみたい。

今回は「日本国内だけだと経済規模が縮小し、給与水準が下がっていくから、最悪職がなくなるから」つまり「食えなくなるから」ということを前提として整理してみる。カネ目当てデスよ!

(1)現地採用
国内にいても経済規模は縮小の一途だし、たとえばあなたが経済成長著しいインドで就職することを考える。英語をビジネスレベルにまで高め、採用されるのに必要なスキルを身に付ける(おそらくこの時点で相当すごいヤツである)。待っているのは初任給2万円と停電が頻繁に起こる不便なインド生活だ。
そう、海外の企業で日本の大手企業並みの給与を払ってくれる会社はほとんどない。スイスのバッテル研究所に勤務されてた今北純一さんや青色発光ダイオードの発明者でUCSB教授の中村修二さんのように、日本並み、もしくはそれ以上の給与で、現地採用されることができるのは一握りの天才だけで、99.9%の日本人には関係ない世界である。否定しているわけではなく、現実的な一般解にはならないだろう、と思うのです。欧米の大学または大学院に留学し、現地のリクルーティングの流れに乗って、つまり、インタビューの段階で、CVに書けるくらいの専門性を身に着けて、半年以上のインターンを経て、はじめはパートタイムで採用されて、認められて本採用、もちろん給与水準は日本の同世代以上、というところが現実路線だと思います。これもかなりきつい道であることには変わりないけど。。。

(2)日本の企業に就職して海外関連会社に出向
これって海外キャリアと言えるのか?結局日本の会社に就職しただけなのでは。。。しかし、海外出向の機会がある、ということはまだ海外マーケットの成長を取り込めるという点で「くえる」希望がある。なので一般的日本人にとっては別に海外キャリアなど関係なく、如何に海外売上比率が高く、海外出向機会が多い日本企業に就職するか、ということが大切になってくると思うのです。そしてそこで活躍できるためにいかにローカルでのビジネスの拡大方法を知っているか、つまり現地で適切なリクルーティングをして、現地の人とコミュニケーションをとって、ビジネスオペレーションの仕組みを作れるか、といったことが大事になってくるわけですね。

(3)結論
というわけで99%の日本人にとって「海外キャリア」なるものは幻想です。あくまでも日本の企業を母体として、いかに海外でモノやサービスを売れるしくみをつくれる人材になれるか、といったことが大切。特に人件費の高い日本人を大挙して海外に送り込むとか金の無駄なので、現地人だけでオペレーションできるしくみを作ることが理想です。海外ローカルのビジネスについては現地人が一番よく知っていますし(ゴールドマンサックスとかUBSとかの外資系銀行の日本支店も9割がた日本人です)。で、こういった能力は海外キャリアとはなんの関係もありません。

(4)ちなみに
「海外できちんと労働ビザを発行してもらった上で、働く」ということになると、機会はたくさんあります。日本人がよく訪れる海外観光地のホテルスタッフや日本企業の現地法人にローカルスタッフ待遇でテンポラリーに就職など。

今回はわかりやすく「お金」を一番の価値として考えてみましたが、もちろん色々な海外キャリアがあると思います。海外で起業!とかも面白そう。