アダプト思考/Makers

Tim Hafford「アダプト思考」、Chris Anderson「Makers」読了。

「アダプト思考」の教えは、世の中は人間が扱える以上に複雑化しているし、専門家でも予測困難なので、以下の3つのサイクルを回し続けることによって正解に近づこう!というもの。

  1. 実行
  2. 失敗
  3. フィードバック


物事をマニュアル化せず、状況に応じてアダプトしていくこのフレームワークのことを彼は「アダプト思考」と名付けている。
文中ではこのアイディアを実際に起こった多くの事例(リーマンショックやメキシコ湾の原油流出事故)を引き合いに出し、説明し、最後に「レッツアダプト!」で締めくくる。彼が本文中で紹介している個別具体的な事例を知りたい!という方以外、もう本書のメインアイディアは説明し終えているので、このブログを読んでくれた方は、本書はもう読む必要はない。というか、人によっては日常的にこのように考え、実践しているだろう。僕は論文を読むようなテンションでこの本を読み終わった。

一方、「Makers」は製造業に今なにが起きているのか?という旬な話であり、Chris Andersonが得意とする、「ウェブ×何か」という切り口が本領発揮している。
(過去には「ウェブ×小売業」で「ロングテール」理論を、「ウェブ×マーケティング」で「Free」理論を提唱している。)

じゃあ何が起きているのか?というとウェブの登場で製造業の現場に、

  1. クラウドファンディングで資金調達ができ
  2. 工場建設などに莫大な初期投資を行わなくとも少ロットで製造が可能になり
  3. 大量生産によるコスト競争力をもつ大企業に、個人が戦いを挑むことができる


ということだ。ちょっと考えただけでこのことが豊かな社会の実現に一役買っていることがわかる。僕は気が付いたらこの本を読み終わっていた。

ちょっとここで「アダプト思考」と「Makers」の本の構造を可視化してみよう。

「アダプト思考」

「Makers」

こうしてみると、「Makers」がなぜ面白く、「アダプト思考」が退屈なのかわかるだろう。(※注:退屈な本が素晴らしくない本だ、ということではない。)

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

アダプト思考 予測不能社会で成功に導くアプローチ