NUSで就職セミナーの講師をしてみた

シンガポール国立大学(NUS)に留学している日本人留学生向けに就職セミナーを開催してきました。

National University of Singapore
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A6

事の発端はNUSのMBAのみなさんとの飲み会で、学部の交換留学生(Aくん)と交わした以下の会話。

Aくん「帰国は4年生の5月です。」
私「就活どおするの?」
Aくん「うーん、なんとなく考えてますけど。。。」

不安だ。。。
せっかくチャレンジして海外に飛び出してきたのに、就職できなかったら大変だろうな、という余計なお世話心が働き、就職セミナーを開催させてもらうことになりました。
結局12人の学生に参加していただきました。

伝えたかったポイントとしては、よく言われるような「どの組織でも働ける人材になれ」とか、「この資格は取っておくべき」とか個人にフォーカスした話というよりも、学生の時には気が付きにくい就職したい業界のマーケット成長率や需給関係、業界規制でいかに企業がlentを取っているか、といったような、マクロベースの考え方を講義してきたつもりでいます。多分みなさん、個人の能力開発的なことはできてしまう人たちだと思ったので。

というわけで、以下のようなことを話してきました。

1.就職ってなに
 1-1.就職を自分なりに定義する
 1-2.給与・ステータス・やりがいのフレームワーク
2.その業界、10年後に残っていますか
 2-1.はやりの業界いま・むかし
 2-2.すべては「マーケット成長率」「需給関係」「業界規制」で決まる
 2-3.「2歩先」を考える
3.とりあえずの就職テクニック
 3-1.就職活動もルールのあるゲームである
 3-2.ストーリーとしてのエントリーシート
 3-3.面接で「自分の物語」を語る
4.やりがいってなに
 4-1.「やりたいこと」が明確にわかっている人はほとんどいない
 4-2.本当にやりたいことがあるならやればいい
 4-3.「リスク」のはなし-人生におけるリスクってなんぞ-
5.コメント・質問

プレゼン資料は今話題のPreziで作りました。

Prezi
http://prezi.com/rnh3wki73p6e/career-seminar-nus/

「教えることは教わること」とはよく言ったもので、私も学生のみなさんから大変刺激
を受けたセミナーでした。

     

絶対内定2014     絶対内定2014 エントリーシート・履歴書

インターネットカルチャーと著作権の未来

何をいまさらな話ですが、インターネット上で起こる文化のダイナミクスってとても面白い。インターネットの登場により、いままでだったら絶対に混ざらなかったものたちが混ざり、新しい文化を創造していく。
 2010年ごろにLawrence Lessigが日本に来たときの講演を聞きにいきました。彼はインターネット上での著作権をどう取り扱うか、引いてはインターネッ上の著作権保護がどのように文化創造にとって影響があるか、といった議論の第一人者であり、日本では山形浩生さんによって紹介されたと記憶している。(興味のある人はLessigの”The future of idea”とか”Free Culture”とか。ちょっと固い話なら”Code and other Laws of Cyberspace”とか)
インターネット上の著作権フリーのストックを増やす試み、クリエイティブコモンズの発起人の一人でもあります。

ローレンス・レッシグ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%82%B0

クリエイティブコモンズ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%BA

TED:ローレン・スレッシグ 法が創造性を圧迫する(日本語字幕付き)
http://www.ted.com/talks/lang/ja/larry_lessig_says_the_law_is_strangling_creativity.html


で、最近ニコニコ動画で起こっているサブカルチャーのコラボレーションがとても面白い。今は作曲ソフトやVocalソフトが充実しており、素人の発表の場所としてインターネットがある。特にVocalソフトと3Dモデルを自在に動かすことのできるフリーソフト”MikuMiku Dance(MMD)”がインターネットカルチャーに与えた影響はとても大きいと感じる。実際に2007年ごろにはVocaloidの可能性については議論されていたようです。

Vocaloid
http://ja.wikipedia.org/wiki/VOCALOID


MikuMiku Dance(MMD)
http://ja.wikipedia.org/wiki/MikuMikuDance

じゃあ、どのようなコラボレーションが起こるのか?というよくある流れは以下の通り。これはあきらかに二次使用が自由にできるからこそ発生する現象だと思う。

1.作詞・作曲した曲をVocaloidに歌わせ、ニコニコ動画に投稿。
2.だれかがそれを歌ってみる(いわるゆ「歌ってみた」)。
3.だれかが振付をつけて曲にあわせて踊ってみる(いわゆる「踊ってみた」)。
4.「歌ってみた」と「踊ってみた」を混ぜる。「踊ってみた」をKinectモーションキャプチャーし、MMDで3Dモデルに躍らせる。

Kinect
http://ja.wikipedia.org/wiki/Kinect

実際の事例として。

1.いーあるふぁんくらぶ

2.中国語でいーあるふぁんくらぶ歌ってみた

3.いーあるふぁんくらぶを踊ってみた

4.【MMD】ミクで「いーあるふぁんくらぶ」

と、こういうレベルまで来ると「これ、マネタイズできるじゃん」って人が出てくるんだけど、どうも投稿者は(おそらく)そこまで考えておらず、単純に評価がほしいだけに見える(i.e. 評価経済)。

評価経済
http://www.weblio.jp/content/%E8%A9%95%E4%BE%A1%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%A4%BE%E4%BC%9A

こういった話に関連して、最近しびれたのはチームラボの猪子寿之さん。
日本のサブカルチャーを商品として海外に輸出しよう(マネタイズしよう)という枝野元経産大臣の考えに対して、「やばいものをつくっていれば需要がでてくる」という考え。この説明だけだと誤解を生むので、彼をとりあげた情熱大陸をみてみてください。

猪子寿之
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%AA%E5%AD%90%E5%AF%BF%E4%B9%8B

情熱大陸


コモンズ―ネット上の所有権強化は技術革新を殺す

2012年を振り返って

シンガポールの年中真夏の気候のせいで、12月30日までまったく年末気分にならなかったのですが、
31日、本日元旦となんとなく年末年始、のすべての時が止まった感じが湧いてきました。
経営大学院を卒業し、2つめの会社に就職して早1年が過ぎましたが、2012年に考えたことをつらつらとまとめたいと思います。

1.組織のミッションと自分のミッションが100%一致することはありえない。自分で組織を立ち上げない限り。
経営大学院に来る人というのはみないわゆる”キャリア志向”の人たちです。
キャリアチェンジやキャリアアップを考えて進学してくる。自分は「MBAとってエリート(?)ビジネスマンとして生きる」という「誰かのストーリー」に沿って生きてただけなんだな、ということに気が付きました。

一方で、組織のミッションと自分のミッションが100%一致することはありえない。自分で組織を立ち上げない限り。
組織は組織で、組織のミッションのために構成員を使い倒すのは当たり前なので別に会社組織に文句があるわけではない。
それにそのために組織に献身して利益を上げてくれる人が大事なのはあたりまえ。
伊藤忠の社長が「育児や自分で弁当を作る男は出世できない」と発言したことが話題になっているが、会社のミッションからしたら給料0で死ぬまで働いてくれるやつがほしいのは当たり前で、特になんとも思わない。が、一方でそういう価値観を持つ組織に、僕は所属したくない。

2.お金がなくても豊かな生活ができるということ。日本の田舎は宝の山だということ。
今年知った中で面白い生き方しているなあ、と思った人が3人。

・イケダハヤトさん
坂口恭平さん
・phaさん

三人に共通していること。

・組織に属していない。
・個人としてお金を稼いでいる。
・情報を発信している(書籍の出版、ブログ、など)

彼らの言動を追っていると分かったこと。

・シェアハウスや地方住まいで、コストは低いがコミュニティーと共に生きるなど質の高い生活をしていること。
・生活コストが低いので無理に稼ぐ必要がない。
・インターネットを通じたマネタイズの手法を確立してる

僕は自分の考えていることを一方的に喋る性格で、集団で行動することが苦手な典型的なコミュニケーション障害者なので、会社という組織に所属することがとてもつらい。
一方で自分の時間を自分以外のミッションのために切り売りして必要以上のお金を稼ぐことにも意義を見いだせないので、
低所得なんだけど生活コストも低いので、自分のための時間が取れる生活というものに憧れていて、どうもそれが工夫すれば実現できそうだ、ということに希望を感じている。
そしてその場所は日本の文化が多く残る田舎になるだろう、という気がしている。

田舎はオープンワールドRPGみたいだった
http://d.hatena.ne.jp/pha/20121127/1354011976

「住むために働く」からの脱却と「引きこもり系ノマドワーカー」という未来
http://blogos.com/article/51160/

0円ハウス
http://www.0yenhouse.com/

3.世界一周旅行したい。1〜2年くらいかけて。
世界には見るべき建築物が多すぎる。

こんなところ。皆様よいお年を!

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった


裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)

アダプト思考/Makers

Tim Hafford「アダプト思考」、Chris Anderson「Makers」読了。

「アダプト思考」の教えは、世の中は人間が扱える以上に複雑化しているし、専門家でも予測困難なので、以下の3つのサイクルを回し続けることによって正解に近づこう!というもの。

  1. 実行
  2. 失敗
  3. フィードバック


物事をマニュアル化せず、状況に応じてアダプトしていくこのフレームワークのことを彼は「アダプト思考」と名付けている。
文中ではこのアイディアを実際に起こった多くの事例(リーマンショックやメキシコ湾の原油流出事故)を引き合いに出し、説明し、最後に「レッツアダプト!」で締めくくる。彼が本文中で紹介している個別具体的な事例を知りたい!という方以外、もう本書のメインアイディアは説明し終えているので、このブログを読んでくれた方は、本書はもう読む必要はない。というか、人によっては日常的にこのように考え、実践しているだろう。僕は論文を読むようなテンションでこの本を読み終わった。

一方、「Makers」は製造業に今なにが起きているのか?という旬な話であり、Chris Andersonが得意とする、「ウェブ×何か」という切り口が本領発揮している。
(過去には「ウェブ×小売業」で「ロングテール」理論を、「ウェブ×マーケティング」で「Free」理論を提唱している。)

じゃあ何が起きているのか?というとウェブの登場で製造業の現場に、

  1. クラウドファンディングで資金調達ができ
  2. 工場建設などに莫大な初期投資を行わなくとも少ロットで製造が可能になり
  3. 大量生産によるコスト競争力をもつ大企業に、個人が戦いを挑むことができる


ということだ。ちょっと考えただけでこのことが豊かな社会の実現に一役買っていることがわかる。僕は気が付いたらこの本を読み終わっていた。

ちょっとここで「アダプト思考」と「Makers」の本の構造を可視化してみよう。

「アダプト思考」

「Makers」

こうしてみると、「Makers」がなぜ面白く、「アダプト思考」が退屈なのかわかるだろう。(※注:退屈な本が素晴らしくない本だ、ということではない。)

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

アダプト思考 予測不能社会で成功に導くアプローチ

Work Shift

Lynda Gratton "Work Shift"読了。2025年までに私たちの働き方がどのようにShiftしていくのかを5つの要因から分析し、3つのShiftすべき個人の行動について説明している。非常に複雑でともすればすぐに発散していきそうな議論を、著者の「母親が得意だったキルトのパッチワークのように」丁寧に記述している。

特に印象に残ったのは、「ネットワーク技術と世界のフラット化によって、キャリアの積み方に多様性が生まれていく」ということ。すでに腕の良いプラグラマなどは実践しているかもしれない。ある時は東京に本社のある大企業で働き、ある時はシンガポールのスタートアップのCTO,etc...というように。

個人的には平均寿命まであと数年に迫った父親と過ごす時間をもっと増やしたいと思うし、結婚したら奥さんと一緒の時間を増やしたいし、子供が出来たら子供と過ごす時間を増やしたいと思うだろう。ニューヨークにも住みたいし、イスタンブールはまた住んでみたい都市だ。日本人のくせにすべての都道府県市町村を訪れたこともなく、地元の政治にも関わってみたい。古い建物を再生し、何らかのビジネスにより維持する、という手段を確立し、広げられたら面白いだろうと思うし、都市計画の分野でDrも取ってみたい。

そんな未来が訪れるかもしれない。


ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

グローバル人材論、まとめ

昔書いた記事で「海外留学者が減少している(と言われている)ことについて」を考えた時に、特定の主張を評論するときに意外と使えるフレームワーク5W1Hだということに気が付きました。そこでグローバル人材論についても1.なぜ?(Why)2.誰のために?(For whom)という観点から考えてみます。

1.なぜグローバル人材にならなければならないのか。
いろいろな主張があると思いますが、大きく分けて、ポジティブな発想としては「グローバル化していく組織において、より複雑で規模が大きく、影響が大きいミッションに関われるようにするため」という発想と、ネガティブなものとして、「縮小する日本のマーケット内にとどまっていては、今後食べられなくなるから」という二つの理由があると思います。ここで時々「日本のため」とか言い出す人がいるのですが、そのロジックの成立の難しさについては後述します。

2.誰のためにグローバル人材にならなければならないのか。
これは自明であり、自分のため以外にありえません。自分の属している組織のため、となった瞬間にグローバル化を推進すべき主体はその組織のミッションになるためです。グローバル化が命題である組織が、それを個人の自主性にまかせる、というのは企業戦略としてありえません。これは「日本のため」というのも国家戦略として同様の問題を孕んでいます。

そこで次のステップとして考えなくてはいけないのは、グローバル人材論だけではこの議論は収束しない、ということです。つまり、

A.個人としてのグローバル化
B.組織としてのグローバル化
C.国家としてのグローバル化

の3つのグローバル化フェイズについてそれぞれ定義しなくてはいけません。
実行者・受益者は常に同一であり(ie:実行者が個人の場合、受益者も個人)、それぞれのパーティーは他のパーティーの利益になるように行動させることは他にインセンティブがない限り、基本的に不可能です。

ではここでA.B.C.について、グローバル人材/組織/国家とはなにか、ということを定義しておきます。

A.グローバル人材の定義
「自らの国籍以外の、どこの国籍の組織であろうと自らの能力で所属する組織を選択できる。」

B.グローバル組織の定義
「どこの国・地域においても、現地で適切な人材を用いて、マネジメントおよびオペレーションを遂行する運営母体を組織できる。」

C.グローバル国家の定義
「世界中から人材・組織を引き付ける​持続可能な税制・および法制度・社会インフラが意識的に整備されている。」

これがグローバル化論の僕の出した結論になります。

次に蛇足として、前述した「日本のために」個人/組織がグローバル化するべき、というロジックには以下の3つの理由により疑問符が付く、と思っています。

(い).グローバル化を達成した個人/組織は、雇用された国に所得税を払うか、利益最大化のためにマケイン諸島など、タックスヘブンを利用した節税スキームを構築する。

(ろ).利益が最大化される法制度を持つ国を利用する。

(は).パフォーマンスが最大となる最小の人件費しかかからない場所で雇用を行う。

グローバル化を達成した個人/組織が日本のためになるケースは以下の2ケースです。

(に).既存の組織において、日本に籍を置いたまま、海外で利益を上げる。

(ほ).新規に国内籍の組織を立ち上げ、海外で利益を上げる。

しかしこの二つの要件は(い)、(ろ)、(は)の要件により成立しません。

しかし金銭的な利益がなくとも、グローバル人材/組織が増えることにより、日本人ひとりひとりが幸福になる可能性を持つ選択肢が増えることや、日本という国の国際的なプレゼンスが高まることにはつながると考えます。こうした文脈の上で、グローバル人材/組織の増加は「日本のため」になるでしょう。

amazonアフィリエイトプログラムをやってみた

はてなでも御多分に漏れず、amazon アフィリエイトプログラム、google adsenseなどのプログラムをやっているようなので、試しにやってみることにしました。このブログを開設してから今日(2012/6/20)時点でのアクセス数はおおよそ45,000アクセス、約3年(1,000日)ほど開設しているので一日平均アクセス数は45アクセス。amazonの場合購入代金の3.5%が振り込まれるとのことなので、アクセスあたりのリンク踏んでくれる率を1%、購入率を1%、紹介する商品の平均価格を1,000円とすると、45/日×0.01×0.01×1,000円×0.035=0.16円/日。4.8円/月。58.4円/年。この仮定だと絶望的な金額ですね。どのくらいの売上げがあるのか、数か月内に報告します。